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SSBJ基準がまた改訂——「動く標的」を追い続けるのはもう限界では?

ISSBの修正からわずか4日でSSBJも改訂——「確定を待つ」戦略は通用しない。建設業45名の下請け企業を想定し、改訂ごとに5〜10週間のExcel棚卸し・ギャップ分析が発生する構造と、基準変更を自動吸収するクラウド基盤を紹介。

#SSBJ改訂#動く標的#基準変更対応

SSBJ基準の改訂に追われ、書類を修正し続ける担当者


先週の金曜日、社長がセミナーから帰ってきて、こう言った。「来年から何か"SSBJ"っていう基準が始まるらしい。うちも対応しないとまずいって話だ。お前、調べてくれ」——突然の指示に、総務の山田さんは途方に暮れた。

ネットで検索してみると、SSBJの公開草案がどうやら何回も改訂されているらしい。「え、まだ確定してないの? じゃあ確定してから準備すればよくない?」——そう思うのは自然なことです。ただ、この「確定を待つ」という判断が、実は最もリスクが高い選択肢かもしれません。

この記事では、(1) SSBJ基準が「動く標的」になっている背景、(2) 基準が変わるたびに発生するExcel管理の構造的な限界、(3) 建設業の地方ゼネコン下請けを想定した業務シミュレーション、(4) 基準改訂に振り回されないための解決アプローチ、を順番に整理していきます。


「動く標的」への対応サイクル

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ISSBが動けば4日で日本基準も動く——「動く標的」の正体

まず、なぜSSBJ基準が「固まらない」のか、その構造から見ていきましょう。

SSBJ(サステナビリティ基準委員会)は、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)が策定したIFRS S1・S2という国際基準をベースに、日本版の開示基準を作っています。つまり、国際基準が変われば日本基準も連動して変わる、という構造です。

実際に何が起きたかというと、2025年12月11日にISSBがIFRS S2の修正を公表しました。そのわずか4日後の12月15日には、SSBJが改訂草案を公表しています。対象はユニバーサル基準第3号、テーマ別基準第4号(一般開示)、テーマ別基準第5号(気候関連開示)の3本。パブリックコメント締め切りは2026年1月28日、正式確定は2026年3月末の予定です。

SSBJ改訂草案(2025年12月15日公表)は、ISSB修正(2025年12月11日)を日本基準に取り込むための改訂であり、GHG排出量の算定期間の差異調整方法の柔軟化、特定金融商品の取扱い明確化、産業分類システム使用の柔軟性向上などを含む。

——SSBJ(サステナビリティ基準委員会)「公開草案改訂版」2025年12月15日公表

ここで大事なのは、この4日間という速度感そのものです。これは「国際基準との整合性を最短で維持する」というSSBJの姿勢の表れであり、今後もISSBが修正を出すたびに同じスピードで改訂が走ることを意味しています。

つまり、「基準が確定するまで待つ」という戦略は成立しません。確定しても、次の改訂がすぐ来るからです。


改訂のたびに起きること——ギャップ分析のやり直しという無限ループ

「でも、改訂といっても微修正でしょ? そのつど対応すればいいんじゃない?」——そう思われるかもしれません。ところが、実務レベルでは「微修正」が思いのほか重い作業を引き起こします。

改訂が発表されると、まずギャップ分析が必要になります。つまり、「前の基準で準備していた内容」と「改訂後の基準が要求する内容」の差分を洗い出す作業です。これだけで数日から数週間かかることがあります。

次に、差分に基づいて算定ロジックの修正。GHG排出量の算定期間の取り扱いが変わった、産業分類の定義が変わった、といった変更は、Excelの計算式を一つずつ確認して直す必要があります。

そして最後に、修正した内容が正しいかどうかの検証作業。ところがExcelの場合、「直す前のバージョン」と「直した後のバージョン」を比較する仕組みが構造的に存在しません。「誰かがどこかのセルを直した」ことは分かっても、「なぜ直したのか」「改訂前と後でどの数値がどう変わったのか」を追跡するには、別途Wordで変更履歴を書くしかありません。

この一連の作業が、改訂のたびに繰り返されます。しかも今回のSSBJ改訂で明確になったのは、サステナビリティデータにも財務データと同等の監査耐性が求められるという方向性です。

サステナビリティ開示は決算プロセスに組み込まれ、監査に耐えうる算定ロジックの文書化が求められる。経理部門とサステナビリティ部門の密接な連携が不可欠である。

——SSBJ改訂草案の実務配慮規定に関する解説(2025年12月15日)

「監査に耐えうる算定ロジックの文書化」——これはつまり、「Excelで計算しました。合ってると思います」では通用しない、ということです。いつ、誰が、どの排出係数を使って、どのような根拠で算定したのか。その全過程が追跡可能でなければならない。Excelにはこの機能が構造的に備わっていません。


経理とサステナ部門の「文化的断絶」——見えにくいが根深い問題

もう一つ、SSBJの改訂が突きつけている課題があります。それは、経理部門とサステナビリティ部門の業務統合です。

サステナビリティ開示が「決算プロセス」に組み込まれるということは、二つの部門が同じデータを、同じ精度基準で、同じ期限に管理しなければならないことを意味します。

しかし、現実にはこの二つの部門は業務文化が大きく異なります。経理部門は数値の正確性と監査対応を最優先にします。一方、サステナビリティ部門はステークホルダーとの対話や定性的な戦略を重視する傾向があります。使うソフトも、報告の期限も、「正確」の定義すら違うことがあるんですね。

この断絶を埋めるには、データガバナンス、内部統制、承認フロー、監査証跡の整備が必要です。しかし、これは「ツールを入れれば解決する」という話ではなく、組織の業務プロセスそのものを変える必要があるため、現実的には1年から2年はかかるプロジェクトです。

そして、この準備をExcelベースで進めると何が起きるか。経理部門が管理する会計ソフトのデータと、サステナ部門が管理するExcelのデータを、四半期ごとに手動で突合する——という作業が永遠に続きます。基準が改訂されるたびに、突合のルールも変わります。


仮想シミュレーション——従業員45名の建設業、下請け企業の場合

ここからは、具体的な業務シミュレーションで「動く標的」が現場にどう影響するかを見てみましょう。

想定企業: 従業員45名の内装工事・設備工事を手がける建設会社。県内の中堅ゼネコンの一次下請けとして、公共工事や商業施設の内装を担当。社長がセミナーでSSBJについて聞いて帰ってきた、あの会社です。

建設業には、他の業種とは異なる特有の難しさがあります。

現場ごとにエネルギー消費が異なる。 重機の軽油消費量は現場によって大きく変動し、仮設電力の使用量は工期と天候に左右されます。1つの「平均値」では算定できません。

下請け構造が深い。 自社の一次下請けだけでなく、二次・三次下請けのエネルギーデータまで求められる可能性があります。建設業の多層下請け構造の中で、末端のデータを収集すること自体が極めて困難です。

建設資材の排出係数が複雑。 セメント、鉄骨、断熱材、塗料——それぞれ異なる排出係数を適用する必要があり、しかもこれらの係数は改訂のたびに変わりうるものです。

シミュレーション:SSBJ改訂が入ったときの業務負荷

工程1:改訂内容の確認と影響度判定 総務の山田さんが改訂草案をダウンロードして読み込みます。ただ、草案は専門的な法律文書であり、建設業の実務にどう影響するかの判断は容易ではありません。社労士や税理士に相談しても、SSBJ基準に詳しい専門家は地方では限られています。この段階だけで1〜2週間は見ておく必要があります。

工程2:既存Excelの計算式の棚卸し 現場ごとの軽油消費量、仮設電力の使用量、資材の排出係数——これらがバラバラのExcelシートに散在しています。「この数式は誰が、いつ、何の根拠で作ったのか」を確認する作業が発生します。属人化が進んでいる場合、当時の担当者がすでに退職しているケースも珍しくありません。棚卸しに2〜3週間

工程3:算定ロジックの修正と検証 排出係数の差し替え、算定期間の調整方法の変更、産業分類の確認。これらをExcel上で一つずつ修正し、過去データとの整合性を確認します。建設業の場合、現場が10件あればExcelシートも10セット。修正漏れのリスクは現場数に比例して膨れ上がります。2〜4週間

工程4:元請ゼネコンへの報告更新 最終的に、改訂後の基準に基づいた数値を元請に報告します。ところが元請側もまだ改訂内容を消化しきれていない場合、「報告フォーマットがまだ決まっていない」と差し戻されることもあります。

合計すると、1回の改訂対応に5〜10週間。これが年に1〜2回発生する可能性がある。しかも本業の現場管理と並行で進めなければなりません。


「Excelを捨てろ」ではなく、「Excelに依存しない構造」を作る

ここまで読んで、「じゃあどうしろと?」と思われた方へ。大切なのは、Excel自体を否定することではなく、基準が変わってもやり直しが発生しない仕組みを作ることです。

この課題を解決するアプローチには、3つの柱があります。

第一に、「データの取り込み」と「算定ロジック」を分離する。 現場の軽油使用量や電力の請求書といった一次データは、一度取り込めば何度でも再利用できます。基準が変わったときに修正するのは算定ロジック(つまり「どの排出係数をどう掛けるか」)の部分だけにする。こうすることで、データの再収集という最も重い作業が不要になります。

第二に、排出係数の更新を自動化する。 環境省やIEAが排出係数を改定したとき、手動でExcelの数値を差し替えるのではなく、システム側で自動的に反映される仕組みがあれば、「係数の差し替え忘れ」というリスクそのものが消滅します。

第三に、経理データとサステナビリティデータを同一基盤で管理する。 二つの部門が別々のファイルで管理している限り、突合作業は永遠になくなりません。同一の台帳に両方のデータが入っていれば、「そもそも突合する必要がない」という状態になります。

この3つが揃えば、SSBJの改訂が入っても、担当者がやることは「改訂後の出力結果を確認する」だけ。算定ロジックの修正、排出係数の差し替え、Excelシートの棚卸し——これらの作業は構造的に発生しなくなります。


Before/After比較——SSBJ基準改訂への追従作業

業務工程従来の手作業フロー自動更新基盤の場合
改訂内容の読み解き草案を自力で読解、専門家に相談(1〜2週間基準変更が算定ロジックに自動反映、差分レポートを確認するだけ
Excelシートの棚卸し現場ごとのシートを1枚ずつ確認、数式の根拠を遡及調査(2〜3週間全データが単一台帳に集約済み。棚卸し作業自体が不要
排出係数の差し替え環境省・IEAサイトで最新値を手動確認し、全シートを更新18地域の係数が有効期間付きで自動更新、手動操作ゼロ
算定ロジックの修正・検証各現場のExcelの計算式を個別修正、過去データとの整合性チェック(2〜4週間アダプター側のロジック更新で全データが一括再計算
経理データとの突合会計ソフトの数値とExcelの数値を四半期ごとに手動照合同一基盤に統合されており突合作業自体が消滅
監査証跡の確保変更履歴をWordで別途記録、誰がいつ何を変えたか追跡困難全変更が改竄不能な台帳に自動記録、即時追跡可能
元請への報告更新改訂後の数値を手動で報告書に転記複数フレームワークへの出力が自動生成、転記不要

「確定を待つ」ではなく「変化に耐える構造」を——Marupass

ここまで「製品名は出さずに」解決アプローチを説明してきましたが、実際にこの3つの柱をすべて満たすサービスがあります。Marupassです。

Excelの4つの構造的欠陥を、設計レベルで解消しています。

監査証跡の問題。 Excelでは「いつでも誰でもセルを書き換えられる」ため、SSBJ基準が求める第三者保証に構造的に対応できません。Marupassの暗号台帳(WORM型台帳)は、一度記録されたデータの削除・書き換えがシステムレベルで禁止されています。「監査に耐えうる算定ロジックの文書化」を、システムが自動で満たす構造です。

排出係数の陳腐化。 建設業で使う軽油、電力、セメント、鉄骨の排出係数は地域や年度によって異なります。Marupassの排出係数エンジンは18地域をカバーし、有効期間付きで自動更新されます。「係数を確認して差し替える」という作業そのものがなくなります。

属人化リスク。 「このExcelの計算式が何をしているか誰も分からない」——建設業では現場管理者が兼務でExcelを作ることが多く、この問題は特に深刻です。Marupassの算定ロジックは自動テストで継続的に検証されており、担当者が異動しても算定の正確性が担保されます。

マルチフレームワーク対応。 SSBJ、CBAM、CSRD/ESRS、VSME——一度の証憑取り込みから複数のフレームワークに対応した出力が同時に生成されます。基準が改訂されてもアダプター側の更新で対応するため、ユーザー側の追加作業はゼロです。

データの取り込みは、普段使っているツールだけ

「でも、新しいシステムを覚えるのは大変そう……」という声が聞こえてきそうですね。Marupassは4つの取り込み経路を用意しています。請求書のメール転送WhatsAppでの写真送信、LINEでのデータ入力、それから登録不要で使える無料診断ページ。どれも、今お使いのツールだけで完結します。

建設業の山田さんの場合なら、現場ごとの軽油の納品書や電力の請求書をメール転送するだけ。AIが自動で数値を読み取り、地域と年度に応じた排出係数を適用し、改竄不能な台帳に記録します。SSBJの基準が改訂されても、山田さんがやることは変わりません。


WORM AUDIT LEDGER

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電力請求書_2026年2月.pdf → 株式会社うさぎ建設

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まとめ

SSBJ基準は「一度確定したら終わり」ではなく、国際基準と連動して今後も改訂が続く「動く標的」です。改訂のたびにExcelの棚卸しと計算式の修正を繰り返すのは、本業を抱える現場にとって持続可能な対応策とは言えません。

大切なのは、基準の変化に耐えられる構造を、基準が確定する前に作ること。まずは請求書1枚のメール転送から、自社のデータがどう可視化されるかを試してみてください。

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