MarupassMarupass
Scope 3 & Primary Dataビルメンテナンス業

Scope3算定、結局なにから始めればいい?——「概念は分かった、でも手が動かない」を解決する実務ガイド

ISO審査員の一言から始まるScope 3算定の実務ガイド。ビルメンテナンス150名企業を想定し、清掃用品・車両燃料・150名通勤データの収集壁を分解。コンサル依存の構造的限界と、請求書転送で自走できるクラウド基盤を紹介。

#Scope 3入門#算定実務#コンサル脱却

ISO審査でScope3への対応をメモする担当者


先日、ISO14001の更新審査のとき、審査員と雑談になったんです。「御社、Scope1・2はしっかり管理されていますね。ところで、来年以降はScope3も見ていくことになると思うんですけど、準備はされていますか?」——さらっと言われたその一言に、ドキッとした方、いらっしゃいませんか。

ISO更新そのものは問題なく通った。でも、帰り際に落とされた「Scope3」という単語が、妙に頭に残る。ネットで調べてみると、15カテゴリだの、サプライチェーン全体だの、膨大な情報が出てくる。「概念は分かった。でも、うちの会社で具体的に何をすればいいのかが全く分からない」——この状態で止まっている方が、実はとても多いんですね。

この記事では、(1) Scope3がなぜ今SMEにまで降りてきているのか、(2) 15カテゴリの「うちに関係あるところ」の見つけ方、(3) 従業員150名のビルメンテナンス会社を想定した具体的な業務シミュレーション、(4) コンサル依存から脱却するための現実的なアプローチ、を順番にお話ししていきます。


「概念→行動」の3段階アプローチ

図解を読み込み中...

「うちには関係ない」が通用しなくなった構造的な理由

まず結論から。Scope3は、大企業だけの話ではなくなりました。理由は単純で、大企業のScope3データは、中小企業のScope1・2データで構成されているからです。

サプライチェーン排出量(Scope3)は、ある企業の排出量全体の平均70〜90%を占めるとされています。CDPの調査では、サプライチェーン排出量は自社排出の平均26倍という数値も出ています。当然、大企業はこの巨大な排出源を無視できません。

そして2025年7月、金融審議会ワーキング・グループが段階的適用スケジュールを公表しました。時価総額3兆円以上の企業は2027年3月期からSSBJ基準に基づく開示が義務化されます。

サステナビリティ情報開示の段階的適用スケジュール:時価総額3兆円以上(2027年3月期)、1兆円以上(2028年3月期)、5000億円以上(2029年3月期)。第三者保証義務化はそれぞれ翌年度から。

——金融審議会ワーキング・グループ「中間論点整理」(2025年7月17日公表)

ここで大事なのは、時価総額3兆円以上の企業が2027年3月期にScope3の開示を始めると、その準備として2026年度中にサプライヤーへのデータ要求が始まるということです。つまり、法律上は「対象外」の中小企業にも、取引先経由で事実上の対応期限が前倒しで到来します。

冒頭のISO審査員の一言は、この構造を知った上でのやんわりとした警告だったのかもしれません。


15カテゴリの全体像——「全部やる」必要はない

「Scope3は15カテゴリもある」と聞くと、それだけで気が遠くなりますよね。でも安心してください。すべてのカテゴリが、すべての業種に等しく重要なわけではありません。

GHGプロトコルが定義するScope3の15カテゴリは、上流8カテゴリと下流7カテゴリに分かれています。

区分カテゴリ内容
上流1. 購入した製品・サービス原材料、消耗品、外注サービスの製造時排出
上流2. 資本財設備投資(機械、車両等)の製造時排出
上流3. Scope1・2に含まれない燃料・エネルギー燃料の採掘・輸送、電力の送電ロス等
上流4. 輸送・配送(上流)購入した原材料の輸送
上流5. 事業から出る廃棄物廃棄物の処理・処分に伴う排出
上流6. 出張従業員の業務渡航
上流7. 雇用者の通勤従業員の通勤に伴う排出
上流8. リース資産(上流)賃借しているオフィス・倉庫等
下流9〜15輸送(下流)、加工、使用、廃棄、リース、FC、投資

業種によって「重たい」カテゴリは全く違います。製造業ならカテゴリ1(原材料)が圧倒的に大きく、物流業ならカテゴリ4(輸送)が主戦場になる。

では、ビルメンテナンス・清掃請負業の場合はどうでしょうか。


ビルメンテナンス業の「重点カテゴリ」はどこか

ビルメンテナンス業は、製造業と違って「原材料を大量に仕入れて製品を作る」業態ではありません。主な事業活動は、清掃・設備管理・警備といったサービスの提供です。そのため、排出量の構成が他業種とは異なります。

従業員150名のビルメンテナンス会社を想定すると、特に注力すべきカテゴリは4つに絞り込めます。

カテゴリ1:購入した製品・サービス。 ビルメン業における「購入製品」とは、清掃用洗剤、ワックス、消毒液、ペーパータオル、ゴミ袋、清掃用具(モップ、パッド類)などの消耗品です。1棟あたりの使用量は少なくても、管理物件数が多ければ年間の総量は無視できません。洗剤やワックスの製造段階の排出量が、ここに含まれます。

カテゴリ3:Scope1・2に含まれない燃料・エネルギー関連活動。 社用車のガソリン・軽油は自社のScope1ですが、そのガソリンが精製される過程での排出や、使用する電力の送電ロスはScope3のカテゴリ3に入ります。清掃車両を多数保有しているビルメン会社では、このカテゴリの比重が意外と大きくなります。

カテゴリ6:出張。 複数拠点で物件管理をしていれば、管理職や技術者の出張が定常的に発生します。新幹線、飛行機、レンタカーの利用が対象です。

カテゴリ7:雇用者の通勤。 従業員150名の通勤手段(電車、バス、自家用車、バイク)とその距離を集計します。特に清掃スタッフの多くは交替勤務で、深夜帯は自家用車通勤になるケースが多い。ここは意外とデータ収集が大変なカテゴリです。

つまり、ビルメン業では「清掃用品の調達」と「人の移動」が主戦場になるわけですね。


手作業で算定するとどうなるか——150名ビルメン会社のリアルな壁

ここからは、この150名のビルメンテナンス会社が、重点4カテゴリのScope3算定を手作業で進めようとした場合に何が起きるか、具体的にシミュレーションしてみましょう。あくまで構造を理解するための思考実験です。

想定企業: 従業員150名、首都圏で商業ビル・オフィスビルの清掃請負を中心に事業展開。管理物件は約30棟。社用車12台(軽バン中心)。総務部3名体制で、ESG専任担当者はゼロ。

工程1:排出源の特定と重点カテゴリの選定

まず、環境省の「サプライチェーン排出量算定の考え方」を読み込むところから始まります。150ページ超のPDF。GHGプロトコルの15カテゴリの定義を理解し、自社に当てはまるカテゴリを判定する作業です。

ところが、ビルメン業はGHGプロトコルの「業種別ガイダンス」の対象外。製造業や小売業には手引きがあっても、サービス業であるビルメン業に特化した算定事例はほとんど公開されていません。「カテゴリ1の"購入した製品"に、洗剤は含まれるのか?ゴミ袋は? 外注で使っている害虫駆除の薬剤は?」——こうした個別の判断を、都度調べながら進めることになります。

推定所要時間:2〜3週間(本業の合間に断続的に作業)

工程2:活動量データの収集

重点カテゴリが決まったら、次は「活動量」——つまり、どれだけ使ったかの数字を集めます。

カテゴリ1の壁: 清掃用洗剤やワックスの年間使用量を「kg単位」で把握する必要があります。ところが、ビルメン業では現場ごとに消耗品を購入していることが多く、購入データは各現場責任者の経費精算書に散在しています。本社が一括発注している分は購買データがありますが、現場調達分は領収書を1枚ずつ拾うしかありません。しかも洗剤の「リットル」をCO2算定に必要な「kg」に変換するには、製品ごとの比重データが必要です。

カテゴリ7の壁: 150名分の通勤手段・距離を集計するには、全従業員にアンケートを配布し、回収し、集計する必要があります。交替勤務の清掃スタッフは「日によって現場が違う」ケースも多く、通勤距離が固定ではありません。

推定所要時間:3〜5週間

工程3:排出係数の選定と根拠の文書化

活動量データが揃ったら、それに掛け合わせる「排出係数」を選びます。ここが、実務で最も時間を食うポイントです。

環境省の「排出係数データベース」を検索すると、清掃用洗剤の排出係数は直接は掲載されていません。「界面活性剤」「石油系化学品」など、上位カテゴリの係数から推計するか、洗剤メーカーにLCAデータを問い合わせることになります。

メーカーに問い合わせると、どうなるか。「弊社では個別製品のLCAデータは公開しておりません」——この回答が返ってくることがほとんどです。結局、産業連関表ベースの排出係数(二次データ)を使うしかないのですが、「なぜこの係数を選んだのか」を文書化する作業が発生します。

推定所要時間:2〜4週間

工程4:算定と報告書の作成

ようやくExcelに数値を入力し、「活動量 x 排出係数」の計算を回します。4カテゴリ分の算定結果をまとめ、取引先が指定するフォーマットに転記する。

推定所要時間:1〜2週間

合計工数

工程内容推定所要時間
1排出源の特定・重点カテゴリの選定2〜3週間
2活動量データの収集(洗剤・燃料・通勤)3〜5週間
3排出係数の選定・根拠の文書化2〜4週間
4算定・報告書作成1〜2週間
合計8〜14週間

8〜14週間。総務部3名で他の業務と並行して進めるとなると、実質的には半年がかりのプロジェクトです。しかも、これは初年度だけの話。翌年度以降も排出係数の更新、通勤データの再収集、取引先フォーマットの変更対応などが毎年発生します。


サプライヤーにデータを求めても返ってこない——算定以前の構造問題

手作業の工数以上に根深い問題があります。それは、サプライヤーからの一次データが入手できないという壁です。

ビルメン会社の場合、カテゴリ1(購入製品)の排出量をより正確に算定するには、洗剤メーカーやワックスメーカーに「この製品1kgあたりのCO2排出量はどのくらいですか?」と問い合わせる必要があります。

多くの中小企業や海外の取引先では、GHG排出量の算定体制自体が整備されていない。

——e-dash「Scope3とは?GHG排出量の算定方法や削減までの具体的なステップを解説!」 https://accel.e-dash.io/article_0027/

つまり、問い合わせた相手がそもそもデータを持っていない。洗剤メーカーにとっても、自社製品のLCAデータを算定するには原材料の仕入先——つまり化学品メーカーのデータが必要です。「データの不在」は、サプライチェーンの何層にもわたって連鎖しているんですね。

環境省は2025年3月に「一次データを活用したサプライチェーン排出量算定ガイド」を発行しましたが、ガイドラインは「何をすべきか」を示すのみで、「サプライヤーがデータを出してくれないとき、どうするか」という実務的な問題には十分な解答を提供していません。

結果として多くのSMEは、産業連関表ベースの二次データ(業界平均の推計値)に頼らざるを得ず、「自社の削減努力が数値に反映されない」というジレンマに陥ります。水の使用量を減らす洗剤に切り替えても、業界平均の排出係数を使う限り、その努力は算定結果に表れないわけです。


「コンサルに頼めば解決」という幻想

「やっぱり専門家に頼むしかないのか」——ここで多くの方がコンサルティング会社を検討し始めます。

Scope3算定のコンサルティング費用は、対象カテゴリの数や算定の深さにもよりますが、一般的に数百万円から数千万円の規模です。従業員150名のビルメン会社の年間利益を考えると、これは無視できない比率になります。

しかも、コンサルティングには構造的な限界があります。

問題1:コンサルはデータ収集の代行はしない。 コンサルが提供するのは「算定方法の設計」と「排出係数の選定支援」であり、現場の消耗品購入データや150名分の通勤データを集める作業は、結局自社がやることになります。最も工数がかかる「データ収集」の部分は外注できないんです。

問題2:翌年度以降も同じ費用がかかる。 Scope3算定は一度やって終わりではなく、毎年の継続的な業務です。コンサルに依頼するたびに費用が発生するため、年間のESG予算を恒久的に確保する必要があります。

問題3:組織にナレッジが残らない。 コンサルが報告書を納品した後、「なぜこの排出係数を選んだのか」「なぜこのカテゴリを除外したのか」の判断根拠は、コンサル側にしか残りません。担当コンサルタントが替わったり、契約を打ち切ったりした場合、算定の連続性が失われるリスクがあります。

つまり、「コンサルに頼む」は短期的な解決策にはなっても、構造的な自立にはつながらない。「対応すべきだが予算がない」というデッドロックの根本原因は、算定プロセスそのものがSMEの体力に見合っていないことにあります。


コンサルにもExcelにも頼らない解決の方向性

ここまでの課題を整理すると、ビルメン業のSMEがScope3算定で直面している壁は3つに集約されます。

壁1:データ収集に膨大な時間がかかる。 清掃用品の購買データ、車両の燃料データ、150名分の通勤データ——それぞれ別のシステムや紙の書類に散在しており、集約するだけで数週間。

壁2:排出係数の選定が専門的すぎる。 環境省のデータベースから適切な係数を探し、その選定根拠を文書化する作業が、算定そのものより重い。

壁3:算定が単発で終わらない。 毎年のデータ収集、係数の更新、取引先フォーマットの変更対応——これが恒久的に続く。

この3つの壁に対して、業界で注目されているのは「データの取り込み」と「算定ロジック」を完全に分離するアプローチです。

考え方はこうです。普段の業務で発生する書類——清掃用品の納品書、ガソリンスタンドのレシート、電力の請求書——をそのまま取り込む。すると、書類の内容からAIが自動で品目・数量・地域を読み取り、その品目と地域に対応する排出係数が自動で適用される。排出係数は有効期間付きで管理されているから、年度が変わっても更新作業は不要。取引先からフォーマットが指定されれば、同じデータからSSBJ用、CBAM用、CSRD用の報告書が同時に生成される。

このアプローチなら、データ収集は「書類を転送する」だけ、排出係数の選定は「システムが自動で適用する」、フォーマット変換は「アダプターが自動生成する」。人間がやるのは、「出力された結果を確認する」ことだけになります。


Before/After比較——ビルメン会社のScope3算定業務

業務工程手作業(Excel+環境省ガイド+サプライヤー問合せ)クラウド自動化基盤の場合
重点カテゴリの選定環境省ガイドPDF 150ページ超を読解、業種別事例を検索(2〜3週間業種・事業内容から重点カテゴリを自動提案、確認するだけ
清掃用品の購買データ収集各現場の経費精算書を回収、品目・数量をExcelに手入力(2〜3週間納品書・請求書をメール転送またはスマホ撮影、AIが自動読取(数分/件
車両燃料データの集計ガソリンスタンドの領収書を月次で集計、車両別に仕分け領収書の転送のみ。車両番号・給油量を自動抽出
通勤データの収集150名にアンケート配布→回収→集計(1〜2週間LINEで通勤手段・距離を回答してもらい自動集計
排出係数の選定・根拠文書化環境省DBから該当係数を検索、産業連関表と照合、選定理由をWord記録(2〜4週間18地域の排出係数が有効期間付きで自動適用、選定根拠は台帳に自動記録
算定(活動量x排出係数)Excelに計算式を構築、セル参照の正確性を目視確認取り込み時に自動算定、手動計算ゼロ
報告書の作成・転記取引先指定フォーマットに手動で数値を転記SSBJ・CSRD等の複数フォーマットを同時自動生成
翌年度の更新作業排出係数の差替え+データ再収集+計算式の検証(毎年5〜8週間書類転送を継続するだけ。係数更新・再計算は自動

不安の先回り——「でも、うちにできるのか?」に答える

ここまで読んで、「方向性は分かったけど、実際にうちの会社で使えるのか?」という不安が残っていると思います。その不安にお答えするために、ここで初めて具体的なサービスの名前を出させてください。

Marupassは、まさにこの「SMEのScope3算定を、コンサルなしで、Excelなしで完結させる」ことを目指して設計されたサービスです。

「新しいツールを覚える余裕がない」

Marupassは4つの取り込み経路を用意しています。清掃用品の納品書やガソリンの領収書をメール転送する。現場スタッフがスマホで撮影してLINEで送る。海外の協力会社ならWhatsAppで送る。あるいは、登録不要で使える無料診断ページにドラッグ&ドロップする。どの経路でも、普段使っているツールだけで完結します。新しいアプリのインストールも、操作研修も必要ありません。

「排出係数なんて選べない」

選ぶ必要がありません。Marupassのグローバル排出係数エンジンは、日本、EU、米国、中国、韓国、台湾、タイ、ベトナムなど18以上の地域の排出係数を有効期間付きで管理しています。取り込んだ書類の品目と地域から、適切な係数が自動で適用されます。環境省のデータベースを検索する作業も、係数の選定根拠を手書きで記録する作業もなくなります。

「サプライヤーがデータをくれない」

Marupassのサプライヤー自動オンボーディング機能は、この問題に正面から取り組んでいます。サプライヤーがMarupassのリンクから請求書を提出すると、そのデータが自動的に「影の台帳(シャドウレジャー)」に記録されます。サプライヤー側はESGの専門知識ゼロで、ただ書類を送るだけ。しかもそのデータ提出が、サプライヤー自身の補助金マッチングにもつながる仕組みになっているため、「データを出すインセンティブ」が構造的に組み込まれています。「データをください」とお願いするのではなく、「データを出すと得をする」という設計です。

「取引先ごとにフォーマットが違う」

Marupassのマルチフレームワーク・コンプライアンスアダプターは、同一のデータからSSBJ、CBAM、CSRD/ESRS、VSMEなど複数のフレームワークに対応した報告を同時に生成します。「A社にはSSBJフォーマットで、B社にはCSRDフォーマットで」という要求にも、データの二重入力なしで対応できます。

「そのデータ、信用できるの?と言われたら?」

Marupassの全データは、WORM型暗号台帳(一度記録したら削除・書き換えが物理的に不可能な台帳)に記録されます。さらに、「意図的に厳しい」AI監査エージェント(敵対的監査)が全データの矛盾や異常値を自動検出します。第三者がSCXとは独立にデータの真正性を検証できる暗号証明も付与されるため、「このデータは改竄されていない」ことを構造的に証明できます。


社内FAQ(想定問答集)——Scope3算定の実務に関する社内の疑問

社内で出そうな質問回答のポイント
「Scope3って結局うちに関係あるの?ビルメンテナンスは製造業じゃないんだけど」Scope3は業種を問わず関係します。取引先の大企業がSSBJ基準でScope3を開示する際、「購入したサービス」のカテゴリにビルメン会社への委託費が含まれます。つまり、取引先のScope3データを構成する一部として、御社のScope1・2データの提出を求められる可能性が高いです。さらに御社自身のScope3(清掃用品の調達、従業員の通勤など)も、将来的な開示対象になりえます
「15カテゴリ全部やらないとダメ?」いいえ。GHGプロトコルでは、全カテゴリの算定を推奨していますが、「重要性の原則」に基づき、排出量への寄与が小さいカテゴリは簡易的な推計や除外が認められています。ビルメン業なら、まずは**カテゴリ1(購入製品)、3(燃料・エネルギー)、7(通勤)**の3つから始めるのが現実的です。この3カテゴリでScope3全体の大部分をカバーできる可能性があります
「サプライヤーがデータをくれない場合はどうする?」一次データが入手できない場合、**産業連関表ベースの二次データ(業界平均の排出係数)**を使うことが認められています。環境省ガイドラインでも、段階的に一次データの比率を上げていくアプローチが推奨されています。まずは二次データで全体像を把握し、排出量の大きい品目から順にサプライヤーへの一次データ依頼を進めるのが実務的です。自動化ツールを使えば、サプライヤーが請求書を送るだけでデータが蓄積される仕組みも可能です
「コンサルに頼むと費用はいくらくらい?」Scope3算定コンサルティングの費用は、対象カテゴリ数や算定の深さによりますが、一般的に数百万円から数千万円規模です。しかもこれは初年度の費用であり、翌年度以降も更新作業への支援費用が発生します。150名規模のビルメン会社の年間利益を考えると、コンサル費用だけでESG予算の大部分を使い切ってしまう可能性があります。自動化基盤を導入すれば、排出係数の選定やフォーマット変換をシステムが処理するため、コンサルに依頼する作業領域を大幅に圧縮できます
「ISOの更新審査とScope3は関係あるの?」現時点では、ISO14001の審査基準にScope3算定の義務はありません。ただし、ISO14001は「環境側面の特定」を要求しており、サプライチェーン全体の環境影響を把握することは基準の趣旨と整合します。審査員がScope3に言及するのは、今後の審査でScope3対応が評価項目に加わる可能性を見据えた「予告」と捉えるのが妥当です。また、ISOとは別にSSBJ基準が義務化されると、取引先からScope3データの提出を求められる時期がISOの更新サイクルより先に来る可能性もあります
「環境省のExcelツールじゃダメなの?」環境省が提供する無料Excelツールは、省エネ法や温対法への対応を目的としたものであり、Scope3の15カテゴリ全体を算定する設計にはなっていません。Scope3算定にExcelを使うこと自体は可能ですが、(1) 排出係数の選定・更新が手動、(2) 取引先フォーマットへの変換が手動、(3) 「いつ誰がどの数値を変更したか」の追跡が構造的に困難、という3つの限界があります。特に(3)は、SSBJ基準が求める第三者保証(監査)において致命的な弱点になります
「今すぐ始めないとまずい?来年度からでもいいのでは?」Scope3算定は蓄積型のデータに基づきます。取引先から「過去1年分のScope3データを出してください」と依頼されたとき、データ収集を始めていなければ過去のデータはゼロです。前年比較も不可能です。時価総額3兆円以上の企業は2027年3月期からSSBJ適用を開始するため、2026年度中にサプライヤーへのデータ要求が始まります。「来年度から始める」では、最初の要求に間に合わないリスクがあります
「清掃用品の洗剤ごとに排出係数なんて分かるのか?」製品個別のLCAデータが公開されていない場合(多くの洗剤メーカーは非公開です)、産業連関表ベースの排出係数を品目カテゴリ単位で適用します。「界面活性剤系洗剤」「アルカリ系洗剤」などの区分ごとに係数が定められています。自動化ツールの排出係数エンジンであれば、取り込んだ納品書の品目名から適切なカテゴリを判定し、地域・年度に応じた係数を自動適用します。個別のLCAデータが将来的に入手できた場合は、その一次データで係数を上書きすることで精度を段階的に上げていく設計です

SAQ Shield

ESG Questionnaire Auto-Pilot

検証済み (WORM Ledger)
企業名株式会社こぶたビルサービス
業種ビルメンテナンス業
回答状況5/5 自動入力済
ID質問内容自動入力された回答データソース確信度
E-1.1年間の電力消費量(kWh)を記入してください864,000 kWh請求書自動取込
99%
E-1.2Scope 2 排出量(tCO2e)を記入してください381.02 tCO2e排出係数自動適用
98%
E-2.1再生可能エネルギーの使用比率を記入してください12.4%JEPX NFC 証書照合
95%
S-3.1労働安全衛生に関する方針を記述してくださいISO 45001 準拠の安全衛生方針を策定・運用中ガバナンス台帳
92%
G-1.1取締役会のESG監督体制を記述してください取締役会にサステナビリティ委員会を設置(年4回開催)ガバナンス台帳
97%
WORM Ledger に暗号アンカー済
手入力の作業時間:0 分

まとめ

Scope3算定は、概念を理解した後の「じゃあ具体的にどうやるの?」が最も高い壁です。15カテゴリの全体像に圧倒される必要はありません。ビルメン業なら、まずは購入製品・燃料・通勤の3カテゴリに絞って始める。そして、データ収集と排出係数の選定を自動化することで、コンサル依存でもExcel依存でもない、自社で回せる体制を作る。大企業のSSBJ適用が始まる前に、証憑1枚の転送から最初の一歩を踏み出してみてください。

上司や財務部門を説得する準備はできていますか?

45業界のユースケースを網羅した【完全版】ESGシステム導入のための社内説得・稟議書テンプレートを無料でダウンロードできます。