
得意先の大手メーカーから、ある日メールが届いた。「来年度より、Scope3排出量のデータをご提出いただく必要がございます。つきましては、貴社のScope1・2排出量および製品単位のカーボンフットプリントについて……」——15カテゴリ?カーボンフットプリント?一体どれから手をつければいいのか。
こういう状況に置かれた方、きっと少なくないと思います。本業の精密加工で手一杯なのに、いきなり「Scope3を15カテゴリ算定してほしい」と言われても、何から始めればいいのか見当もつきませんよね。
安心してください。15カテゴリ全部を初年度からフルスペックで算定する必要はありません。 ただし、「やらなくていい」わけでもない。大事なのは、どこから着手すれば得意先の要求に応えられるかという優先順位の付け方です。
この記事では、(1) Scope3の15カテゴリの全体像と「なぜ全部は無理なのか」の構造的な理由、(2) 優先順位の付け方の考え方、(3) 排出係数という見えない壁の正体、(4) 精密機械部品メーカーを想定した業務シミュレーション、(5) 専門知識がなくても始められる方法、を順番に整理していきます。
Scope 3算定の優先順位マトリクス
そもそもScope3とは何か——15カテゴリの全体像をざっくりつかむ
まず結論から言うと、Scope3とは「自社の工場や電力以外のところで出るCO2」のことです。つまり、仕入れた材料を作るときに出たCO2、外注先の工場で出たCO2、製品を運ぶトラックから出たCO2——こういった、自社の直接コントロール外で発生する排出量をまとめてScope3と呼びます。
GHGプロトコル(温室効果ガスの算定に関する国際的なルール)は、このScope3を15のカテゴリに分類しています。上流(仕入れ側)が8カテゴリ、下流(販売側)が7カテゴリです。
代表的なものを挙げると、こんな構成です。
- カテゴリ1(購入した製品・サービス): 原材料や部品の製造時に発生する排出量。製造業では通常ここが最大
- カテゴリ3(燃料・エネルギー関連活動): Scope1・2に含まれないエネルギー起源の排出
- カテゴリ4(輸送・配送・上流): 仕入れ材料の輸送時の排出
- カテゴリ5(事業から出る廃棄物): 工場で出る廃棄物の処理にかかる排出
- カテゴリ6(出張): 従業員の出張による排出
- カテゴリ7(雇用者の通勤): 従業員の通勤による排出
ここで大事なポイントがあります。一般に、企業全体の排出量のうち70〜90%がScope3と言われています。つまり自社の工場で直接出しているCO2(Scope1)や電気由来のCO2(Scope2)は全体の一部に過ぎず、サプライチェーン全体を含めたScope3こそが排出量の大部分を占めるんです。
だからこそ得意先がScope3のデータを求めてくるわけですが、「だったら15カテゴリ全部算定しないといけないのか」というと——必ずしもそうではありません。
「全部やる」は非現実的——GHGプロトコルも認めている合理性の原則
「15カテゴリ全部やらないとダメなのか」。この問いに対する答えは、実はGHGプロトコル自体が出してくれています。
企業は、過大なコストや労力をかけず、報告日時点で利用可能な合理的で裏付け可能な情報を活用すること。
——GHG Protocol Corporate Value Chain (Scope 3) Accounting and Reporting Standard, Chapter 7 https://ghgprotocol.org/sites/default/files/standards/Corporate-Value-Chain-Accounting-Reporing-Standard_041613_2.pdf
要するに、「すべてを完璧に測定しなさい」ではなく、「合理的に手に入る情報を使って、裏付けが取れる範囲で算定しなさい」ということですね。
ただし、ここに一つ注意があります。「合理的で裏付け可能」というのは、決して「適当でいい」という意味ではないということです。「裏付け可能」とは、第三者が検証できるデータが残っているという意味です。つまり、算定の根拠を文書化して、監査に耐えうる形で保持する必要がある。
この原則を踏まえると、現実的なアプローチは明確です。まず自社の排出量に大きく寄与するカテゴリを特定し、そこから優先的に精度を上げていく。 影響の小さいカテゴリは産業平均の推計値で対応し、段階的に一次データに切り替えていく。「全部やる」ではなく、「重要なところからやる」——これが国際的に認められたアプローチです。
優先順位の付け方——「排出量の大きさ」と「データの取りやすさ」の2軸で考える
では、15カテゴリのうちどこから手をつけるべきか。ここが実務で最も悩むポイントですよね。
結論として、優先順位は2つの軸で考えます。
軸1:排出量への寄与度が大きいカテゴリはどれか。 つまり、自社の全排出量に占める割合が高いカテゴリを見極めることです。製造業の場合、一般的にカテゴリ1(購入した製品・サービス)とカテゴリ4(輸送)が大きくなりやすい。
軸2:データを入手できる現実的な見込みがあるか。 カテゴリ6(出張)やカテゴリ7(通勤)は社内データだけで算定可能です。一方、カテゴリ1の精密なデータを得るにはサプライヤーの協力が要る。
この2軸をクロスさせると、次のような優先順位マトリクスが見えてきます。
第1優先(排出量大 × データ入手可能): まず着手すべき領域。カテゴリ3(燃料・エネルギー関連)は自社の電力・ガスデータから算定できるため、Scope1・2の算定と同時に進められます。
第2優先(排出量大 × データ入手に工夫が必要): カテゴリ1(購入品)やカテゴリ4(輸送)。データの精度を上げるには時間がかかるが、影響が大きいので早めに「推計値」でもいいから着手する。
第3優先(排出量小 × データ入手可能): カテゴリ6(出張)やカテゴリ7(通勤)。排出量への寄与は相対的に小さいが、社内データだけで完結するため、算定の練習として適しています。
後回し可能(排出量小 × データ入手困難): カテゴリ13(リース資産・下流)やカテゴリ15(投資)など、自社に該当しないカテゴリは「該当なし」と記載すれば問題ありません。
この「まず重要なところから」というアプローチは、GHGプロトコルの合理性原則に合致しています。得意先に「15カテゴリすべてを初年度から精緻に出してほしい」と言われた場合でも、「カテゴリ1と4は産業平均の排出係数で推計し、今後2年間で一次データへの切り替えを計画しています」と説明できれば、多くの場合は受け入れられます。
排出係数という「見えない壁」——同じ活動でも数値が数倍変わる問題
優先順位が決まったとして、次に立ちはだかるのが排出係数の問題です。排出係数というのは、「アルミ1kgを作るときにCO2が何kg出るか」といった換算の数値のことですね。
Scope3の算定式自体はシンプルです。
排出量 = 活動量 x 排出係数
例えば「アルミを年間50トン仕入れた」なら、50トン x アルミの排出係数 = Scope3カテゴリ1の排出量、という計算です。掛け算だけなので一見簡単に見えます。
ところが、この排出係数の選び方が実務では大きな壁になります。理由は3つあります。
壁1:複数のデータベースが存在し、数値が異なる。 日本では環境省の排出係数データベース、産業技術総合研究所のIDEAデータベース、国際的にはecoinventなどがあります。同じ「アルミニウム」でも、データベースが違えば排出係数が異なります。場合によっては数倍の開きが出ることもあります。
壁2:材料のグレードや産地で係数が変わる。 たとえば精密機械部品に使うアルミでも、A5052(耐食性に優れる汎用材)とA7075(超ジュラルミン、航空機グレード)では製造プロセスが異なるため、理論上は排出係数も変わります。ステンレスのSUS304とSUS316Lでも同様です。こうした材料グレードの違いまで反映した排出係数を選び分けるのは、ESGの専門家でも骨の折れる作業です。
壁3:選択の根拠を文書化して残す必要がある。 先ほどのGHGプロトコルの「裏付け可能」という要件を思い出してください。どのデータベースの、どの年度の、どの係数を使ったのか。なぜその係数を選んだのか。この根拠を記録して保持する作業は、算定そのものと同等かそれ以上の負担を生みます。
つまり、排出係数は「一度選んで終わり」ではないんです。毎年度データベースが更新され、係数が変われば過去データとの比較方法も考え直す必要がある。これが「毎年の更新」という永続的な作業負荷の正体です。
精密機械部品メーカーの現場で考える——何が本当に大変なのか
ここで、具体的な現場を想像してみましょう。
例えば従業員80名の精密機械部品メーカーを思い浮かべてください。自動車メーカー2社と半導体装置メーカー1社が得意先で、アルミ・ステンレス・チタンの切削加工を主力としています。品質管理部の方がCSR業務を兼任していて、得意先からScope3データの提出を新たに求められた、という状況です。
この会社のScope3を15カテゴリで眺めてみる
まず全体像を把握するために、15カテゴリそれぞれが自社に該当するかを確認する作業が必要です。精密機械部品メーカーの場合、主要なカテゴリはこうなります。
- カテゴリ1(購入した製品・サービス): アルミ丸棒、ステンレス板材、チタン合金、切削油、クーラント、研磨材。ここが最大の排出源
- カテゴリ4(輸送・上流): 材料メーカーからの金属材料の配送。混載便が多く、自社分の按分が悩ましい
- カテゴリ5(廃棄物): 切削くず(切粉)の処理、使用済み切削油の廃棄処理
- カテゴリ6(出張): 得意先への品質会議出席(月1〜2回程度)
- カテゴリ7(通勤): 従業員80名の通勤
さらに、この会社ならではの悩みが3つあります。
悩み1:金属材料の排出係数が材料グレードで変わる。 A5052とA7075では排出係数が違う。SUS304とSUS316Lでも違う。チタンに至っては、純チタンとTi-6Al-4V(64合金)で製錬プロセスが根本的に異なる。得意先が「材料グレード別の排出量を出してほしい」と言ってきた場合、係数の選定だけで相当な調査時間がかかります。
悩み2:外注の表面処理工程のエネルギーデータが取れない。 切削加工の後に行う表面処理——めっきや焼入れ、アルマイト処理——は外注に出しているケースが多い。この外注先の工程で使われた電力やガスのデータは、自社では把握できません。「外注先に聞いてください」と言われても、10人規模の表面処理業者がプロセス別の電力データを持っているとは限りません。
悩み3:輸送の按分が複雑。 金属材料は重量物なので、材料メーカーから複数社向けの混載便で届くことが多い。自社向けの輸送排出量だけを切り出すには、総積載量に対する自社分の重量比で按分する必要がありますが、混載の内訳を運送会社に確認する手間が生じます。
時間に換算するとどうなるか
この会社が15カテゴリの算定を手作業で行うとしたら、年間でどのくらいの工数がかかるか。主要な作業を分解して見積もってみましょう。
| 作業内容 | 推定所要時間(年間) |
|---|---|
| 15カテゴリの該当性判断・スコーピング | 約16時間(初年度のみ) |
| カテゴリ1:材料グレード別の購入量集計 | 約20時間 |
| カテゴリ1:排出係数の調査・選定・根拠文書化 | 約24時間 |
| カテゴリ4:輸送データの収集・混載按分計算 | 約12時間 |
| カテゴリ5:廃棄物処理データの収集 | 約8時間 |
| カテゴリ6・7:出張・通勤データの集計 | 約6時間 |
| 排出係数の年度更新確認・再計算 | 約10時間 |
| 算定結果の突合・前年比較・差異分析 | 約12時間 |
| 得意先フォーマットへの転記(3社分) | 約18時間 |
| 合計 | 約126時間(初年度は約142時間) |
約126時間。営業日に換算すると約16日分です。品質管理と兼任の担当者1名が、年間で丸々3週間以上をScope3算定に費やす計算です。しかも、これは毎年繰り返される作業です。
特に負担が重いのが「排出係数の調査・選定・根拠文書化」の24時間です。算定そのもの(掛け算)よりも、「なぜこの係数を選んだのか」を記録する方がずっと時間がかかる。ここに、多くの企業が見落とす隠れたコストがあります。
「排出係数エンジン」という解決アプローチ——人が「選ぶ」のではなく、システムが「適用する」
ここまで見てきた困難を整理すると、3つの構造的な問題に集約されます。
問題1:排出係数の選択と正当化に膨大な時間がかかる。 複数のデータベースから適切な係数を選び、その根拠を文書化する作業は、算定作業の半分以上を占める。
問題2:毎年の更新が永続的な負荷を生む。 排出係数は年度ごとに更新されるため、選定作業が毎年発生する。前年との比較整合性の確保も必要。
問題3:得意先ごとにフォーマットが異なり、同じデータを何度も転記する。 自動車メーカーA社の様式、B社の様式、半導体装置メーカーの様式——3社あれば3つのExcelに手で転記する。
これらの問題に対して、業界で注目されているのが排出係数エンジンと自動分類を組み合わせたアプローチです。
考え方はシンプルです。人間が排出係数を「探して」「選んで」「入力する」のではなく、システムが材料の種類と地域に基づいて自動的に適用する。 係数の年度更新もシステム側で管理されるので、毎年の係数確認という作業そのものが消える。
さらに、1回のデータ取り込みで複数のフレームワーク向けの出力を同時に生成する仕組みがあれば、得意先ごとの転記作業も不要になります。元データが1つなので、フォーマット間でデータが食い違う心配もない。
つまり、先ほどの工数表で最も時間を食っていた「排出係数の調査・選定・根拠文書化(24時間)」と「得意先フォーマットへの転記(18時間)」——合計42時間分が、構造的に消滅する可能性がある。これは全体の約3分の1にあたります。
構造的シミュレーション——精密機械部品メーカーの年間工数はどう変わるか
先ほどの従業員80名の精密機械部品メーカーを前提に、手作業と自動化基盤で主要な工程がどう変わるかを比較してみましょう。
工程1:材料グレード別の購入量集計
手作業の場合、購買管理システムや仕入伝票からアルミ・ステンレス・チタンそれぞれの購入量を材料グレード別に集計します。A5052が何トン、A7075が何トン、SUS304が何トン……。これだけで年間約20時間。
自動化基盤の場合、仕入伝票や請求書をメール転送するだけでAIが材料名・グレード・数量を読み取り、自動で分類・集計します。担当者の作業は転送操作のみです。
工程2:排出係数の選定と根拠文書化
手作業の場合、環境省DB、IDEA、ecoinventなどを調査して材料グレードごとに適切な係数を選び、「なぜこの係数を採用したのか」をExcelの別シートや社内文書に記録します。年間約24時間。しかも来年も同じ作業が発生する。
排出係数エンジンを持つ基盤の場合、地域ごと・材料ごとの係数が有効期間付きで内蔵されており、自動適用されます。係数の選択根拠はシステムが自動で記録するため、文書化の手間がなくなります。年度更新も自動反映です。
工程3:廃棄物・外注工程のデータ収集
手作業の場合、切削くずの処理業者や外注の表面処理業者に電話やメールでデータを問い合わせます。相手が小規模事業者の場合、そもそもデータを持っていないことも。年間約8時間(実際にはやり取りの待ち時間を含めるともっとかかる)。
自動化基盤の場合、外注先や処理業者がLINEやWhatsAppで簡単にデータを提出できる仕組みがあれば、問い合わせと回収の負荷は大幅に軽減します。ただし、相手側の協力は引き続き必要なので、ここは「完全に自動化」ではなく「大幅な簡素化」です。
工程4:得意先フォーマットへの転記
手作業の場合、3社それぞれの指定様式に手で転記します。年間約18時間。フォーマットが変わるたびにExcelの再構築が発生。
自動化基盤の場合、同一のデータから各フレームワーク・各社フォーマットへの変換が自動で行われます。3社から5社に増えても追加の転記工数は発生しません。
比較まとめ
| 工程 | 手作業(Excel) | 自動化基盤 |
|---|---|---|
| 材料の購入量集計 | 約20時間/年 | メール転送で自動分類(数時間) |
| 排出係数の選定・根拠文書化 | 約24時間/年 | 自動適用・自動記録(0時間) |
| 輸送按分・廃棄物データ収集 | 約20時間/年 | 簡素化されるが相手の協力は必要(約5時間) |
| 排出係数の年度更新 | 約10時間/年 | 自動更新(0時間) |
| 得意先フォーマットへの転記 | 約18時間/年 | 自動変換(0時間) |
| 算定結果の突合・差異分析 | 約12時間/年 | 自動比較・例外レビューのみ(約2時間) |
| 合計 | 約126時間(約16営業日) | 約20〜30時間(約3〜4営業日) |
年間約100時間——営業日換算で約12日分の工数が構造的に削減される計算です。品質管理と兼任している担当者にとって、3週間分の余裕が生まれるのは、数字以上に意味のある変化ではないでしょうか。
見落としがちな「毎年更新」の罠——今年の算定は来年の前年比較データになる
ここで一つ、多くの企業が見落としがちなポイントを補足させてください。
Scope3の算定は「今年やれば終わり」ではありません。来年度の報告では「前年との比較」が求められます。 つまり、今年度のデータは、来年度の報告における「前年比較データ」になるんです。
これが意味するのは、データの蓄積方法を初年度の段階で設計しておかないと、来年になってから遡及的に整備する二度手間が発生するということです。
排出係数が年度ごとに変わるという話をしましたが、前年比較のためには「去年と同じ係数で再計算した場合」と「今年の最新係数で計算した場合」の両方を示す必要が出てくることもあります。Excelで手管理していると、この二重計算の整合性を保つのは極めて困難です。
逆に言えば、初年度の段階で自動的にデータが蓄積される仕組みを入れておけば、2年目以降の比較データは勝手に揃います。「まずは今年だけ乗り切ろう」ではなく、**「来年以降も楽になる構造を今年作っておく」**という発想が、結局はいちばん工数を減らすんです。
「でも、うちにはESGの専門家がいない」——Marupassという選択肢
ここまで読んで、「考え方はわかったけど、排出係数エンジンとか自動分類とか、そんなシステムをうちの規模で導入できるのか?」と感じた方もいらっしゃると思います。ITに詳しい人がいない。ESGの専門家もいない。予算も限られている。そのお気持ち、とてもよく分かります。
Marupassは、まさに「ESG専門家のいないSME」を想定して設計されたサービスです。
「新しいシステムを覚える時間がない」
Marupassの取り込み経路は、メール転送、LINE、WhatsApp、登録不要の無料診断ページの4つです。いずれも皆さんが日常的に使っているツールだけで完結します。「材料の仕入伝票をメールで転送する」——操作はこれだけです。新しい画面を覚える必要はありません。
「排出係数をどう選べばいいか分からない」
先ほど詳しく説明した排出係数の壁——これがMarupassではそもそも存在しません。Marupassのグローバル排出係数エンジンは、18以上の地域(日本、EU、米国、中国、韓国、台湾、タイ、ベトナム、インドネシア、メキシコ、ブラジルなど)の排出係数を有効期間付きで管理しています。材料の種類と調達先の地域に応じて自動で適用されるため、「選ぶ」という操作が存在しません。年度ごとの係数更新も自動反映されます。
「得意先3社のフォーマットが全部違う」
Marupassのコンプライアンスアダプターは、CBAM、SSBJ、CSRD/ESRS、VSME、SEC Climate、PACT V3、Catena-Xなど主要なフレームワークに対応しています。1回の取り込みから複数フレームワーク向けの出力を同時に生成できるため、得意先ごとの転記作業が構造的に不要です。すべて同一のデータから生成されるので、フレームワーク間でデータが食い違うことはありません。
「このExcelの計算式が何をしているか、誰にも分からない」を防ぎたい
これは属人化のリスクですよね。Marupassの算定ロジックは独立したモジュールとして構築されており、自動テストスイートで正確性が継続的に検証されています。担当者が異動しても、ロジックはシステム内に残ります。「前任者のExcelを解読する」という引き継ぎは発生しません。
「監査で『根拠を見せてください』と言われたら?」
Marupassの暗号台帳(WORM台帳)は、一度記録されたデータの削除・書き換えがシステムレベルで禁止されています。さらに、AIによる敵対的監査エージェントが全データを多角的にチェックし、検証をパスしたデータだけが台帳に記録されます。排出係数の選択根拠も自動で記録されるため、「なぜこの係数を使ったのか」という問いに対して即座にエビデンスを提示できます。
SAQ Shield
ESG Questionnaire Auto-Pilot
| ID | 質問内容 | 自動入力された回答 | データソース | 確信度 |
|---|---|---|---|---|
| E-1.1 | 年間の電力消費量(kWh)を記入してください | 612,000 kWh | 請求書自動取込 | 99% |
| E-1.2 | Scope 2 排出量(tCO2e)を記入してください | 269.89 tCO2e | 排出係数自動適用 | 98% |
| E-2.1 | 再生可能エネルギーの使用比率を記入してください | 12.4% | JEPX NFC 証書照合 | 95% |
| S-3.1 | 労働安全衛生に関する方針を記述してください | ISO 45001 準拠の安全衛生方針を策定・運用中 | ガバナンス台帳 | 92% |
| G-1.1 | 取締役会のESG監督体制を記述してください | 取締役会にサステナビリティ委員会を設置(年4回開催) | ガバナンス台帳 | 97% |
まとめ
Scope3の15カテゴリは、確かに全体像を見ると圧倒されます。しかし「全部を完璧にやらなければならない」わけではありません。排出量への寄与度とデータの入手可能性——この2軸で優先順位を付け、段階的に精度を上げていく。これがGHGプロトコルの合理性原則に沿った、現実的なアプローチです。
そして、算定そのものよりも実は重たい「排出係数の選定・根拠文書化」「毎年の更新」「得意先フォーマットへの転記」——これらの隠れた工数こそ、自動化によって構造的に消せる部分です。まずは材料の仕入伝票を1通メール転送するところから、始めてみてください。
稟議用資料:Scope3算定の工程別Before/After比較表
| 工程 | Before(Excel手作業) | After(排出係数エンジン + 自動分類基盤) |
|---|---|---|
| 15カテゴリのスコーピング | 初年度に約16時間の調査が必要 | 業種に応じた自動判定(該当性チェックが簡素化) |
| 材料購入量の集計 | 仕入伝票を手作業で分類・集計(約20時間/年) | メール転送でAIが材料グレード別に自動集計 |
| 排出係数の選定・根拠文書化 | 複数DBを調査、選択根拠を手動で文書化(約24時間/年) | 18地域の係数が自動適用、選択根拠も自動記録 |
| 排出係数の年度更新 | 毎年手動で確認・計算式修正(約10時間/年) | システム側で自動更新・自動反映 |
| 得意先フォーマットへの転記 | 3社 x 各6時間の手転記(約18時間/年) | 1回の取り込みで複数フォーマット出力(追加工数なし) |
| 前年比較データの整備 | 遡及計算が必要、整合性確保が困難 | 日々自動蓄積、比較データは自動生成 |
| 担当者の引継ぎ | 「誰も読めないExcel」の解読に1〜2ヶ月 | ロジックがシステム化、引継ぎ作業なし |
| 年間合計(概算) | 約126時間(約16営業日) | 約20〜30時間(約3〜4営業日) |
社内FAQ(想定問答集)——「Scope3算定を開始する/ツールを導入する」ことへの反対意見に対する回答
| 社内で出そうな反対意見 | 回答のポイント |
|---|---|
| 「15カテゴリ全部やるなんて無理。だからやらなくていい」 | GHGプロトコル自体が「合理的で裏付け可能な情報の活用」を原則としています。全カテゴリを初年度からフルスペックで算定する必要はなく、排出量への寄与が大きいカテゴリから段階的に進めるアプローチが国際的に認められています。問題は「やるかやらないか」ではなく「どこから始めるか」です |
| 「排出係数なんて分からない。専門家を雇わないと無理だ」 | 排出係数エンジンを内蔵したツールを使えば、材料種と地域に基づいて係数が自動適用されます。「選ぶ」という操作自体が不要で、年度更新も自動反映。ESGの専門知識がなくても算定が可能な仕組みが存在します |
| 「得意先に『まだ算定できていません』で通用するのでは?」 | 現時点では通用するかもしれません。ただし、SSBJ基準の段階適用に伴い、大企業のScope3開示義務が強化されると、サプライヤーへのデータ要求水準も上がります。「対応できない」が「取引評価の引き下げ」「新規案件からの除外」につながるリスクは認識しておくべきです |
| 「今年さえ乗り切ればいいのでは?」 | Scope3算定は単年で完結しません。来年度の報告では前年比較が求められるため、今年のデータが来年の基準値になります。手作業で乗り切ると、来年は「今年と同じ苦労+前年比較の突合」が加わり、負荷が増えます。初年度に自動蓄積の仕組みを入れておく方が、中期的にはコストが下がります |
| 「ツール導入の費用対効果が見えない」 | 手作業の場合、排出係数の選定・根拠文書化だけで年間約24時間、得意先への転記で約18時間。合計42時間分の工数が自動化で構造的に削減されます。担当者の時間単価で換算すれば、費用対効果の試算が可能です。さらに、得意先が増えても追加工数がほぼ発生しないスケーラビリティも考慮に値します |
| 「外注先や材料メーカーがデータを出してくれないのに意味があるの?」 | サプライヤーから一次データが取れないカテゴリは、産業平均の排出係数による推計で初年度は対応可能です(GHGプロトコルも認めています)。自社で管理可能なデータ(購入量、電力、廃棄物)から始め、段階的にサプライヤーデータの精度を上げていくのが現実的なアプローチです |
| 「うちは80人の中小企業。大企業向けのツールは使いこなせない」 | Marupassはメール転送・LINE・WhatsAppで取り込みが完結し、新しい画面の操作は不要です。排出係数もフレームワーク変換も自動。「ESGの専門家がいないSME」のための設計です |