MarupassMarupass
SSBJ & Disclosure部品製造業

「うちは上場企業じゃないし関係ないよね?」——いえ、IFRS S1・S2はサプライチェーン経由で届きます

IFRS S1・S2のScope 3開示義務はサプライチェーン経由で中小製造業に届く。「うちは対象外」と安心するリスクとExcel管理の限界を解説し、請求書メール転送だけで10フレームワークに同時対応できる統合データ基盤を紹介。

#IFRS S1・S2#SSBJ#サプライチェーン排出量

取引先からのサステナビリティ関連書類を確認するビジネスマン


「IFRS? SSBJ? ……うちには関係ないでしょ」——そう思った方、多いのではないでしょうか。

お気持ちはよく分かります。本業だけでも忙しいのに、アルファベットの略語が次々と降ってくる状況は本当に大変ですよね。ただ、ここ数年で世界の「企業の情報開示ルール」が大きく動いていて、その波がサプライチェーンを通じて中小企業にも届き始めています。

ごく簡単に言うと、こういう流れです。IFRS S1・S2(世界共通のサステナビリティ開示ルール)が策定され、日本ではSSBJ(サステナビリティ基準委員会)がこれをベースに国内基準を作っています。つまり「国際ルール → 日本ルール → 上場企業の開示義務 → サプライヤーへのデータ要求」という連鎖が、もう動き出しているんです。

本記事では、(1) この連鎖がなぜ中小企業に届くのか、(2) Excel管理ではなぜ対応しきれないのか、(3) 専門知識がなくても今日から始められる方法、を順番に整理していきます。


規制の連鎖と対応方法の分岐

図解を読み込み中...

まず全体像から——いま世界と日本で何が起きているのか

最初に、ざっくりとした全体像をつかんでおきましょう。

2023年、ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)がIFRS S1IFRS S2という2つの開示基準を正式に発行しました。S1は「サステナビリティ全般」、S2は「気候変動」に特化した基準です。つまり、企業は「CO2をどれだけ出しているか」だけでなく、「それが経営にどう影響するか」まで開示することが世界標準になった、ということですね。

日本でも、SSBJがこのIFRS基準をベースに国内版を策定中で、プライム上場企業から適用が始まる見込みです。

ここで大事なのが、IFRS S1が「バリューチェーン全体」——つまり、原材料の仕入れから製品の納品まで、取引の連鎖すべて——のデータ開示を求めている点です。大企業が自社のScope 3排出量(自社以外のサプライチェーン全体から出るCO2)を開示するためには、サプライヤーの排出データが不可欠になります。

つまり、中小企業が直接の適用対象でなくても、取引先の大企業を通じてデータ提出を求められる構造がすでにできあがっているんです。


「また質問票が来た……」——現場で起きていること

「そういう話は聞いたことあるけど、具体的にどう影響するの?」という声が聞こえてきそうですね。実は、すでにかなり具体的な影響が出ています。

大手自動車メーカーや電機メーカーが、サプライヤー向けのESG質問票を本格的に送付し始めています。しかもEcoVadis、SAP Ariba、CDPなど4〜5種類の異なるフォーマットで、ほぼ同じ内容を重複して聞いてくるケースが増えているんです。

例えば従業員50名の部品メーカーを想像してみてください。CSR専任ではなく総務と兼任の担当者が、四半期ごとに届く質問票に対応しなければなりません。取引先3社から来た場合、1社あたり10〜15時間。合計で四半期に30〜45時間。これは「本業の片手間」で済む量ではありませんよね。

しかも厄介なのが、対応が遅れると取引継続そのものに影響しかねないこと。IFRS S1・S2の波及は「罰金」ではなく、サプライチェーンから外されるリスクという形で届きます。だからこそ、早めに構造を理解しておくことが大切です。


「つながりのある情報」って何?——Excel管理では越えられない壁

ここで、もう一つ知っておいていただきたい概念があります。IFRS S1が求める**「つながりのある情報」(Connected Information)**というものです。

IFRS S1は、サステナビリティ関連財務情報の開示にあたり、「つながりのある情報」(Connected Information)として財務諸表との統合的開示を要求している。

——ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)「IFRS S1 サステナビリティ関連財務情報の開示に関する全般的要求事項」2023年6月発行

要するに、「サステナビリティのデータと財務のデータを、バラバラではなく一体で出しなさい」ということですね。

これを実現するには、両方のデータが同じ期間同じ範囲同じ重要性の基準で管理されている必要があります。でも現実はどうでしょうか。多くの中小企業では、財務データは経理が会計ソフトで管理し、サステナビリティデータはCSR担当がExcelで管理しています。

具体的にシミュレーションしてみましょう。例えば従業員120名の製造業がCBAM報告(つまり、EUへの輸出品にかかるCO2関連の申告)を行う場合、経理部門への数値照会に3日、Excelへの転記に2日、突合チェックに1日——計6日間が毎四半期に発生する計算です。

さらに見落としがちなのが、前年比較データの問題です。IFRS S1・S2は「去年と比べてどうだったか」を開示することを原則求めています。つまり、来年度に初めて開示を行うなら、今年度のデータを同じ基準で記録しておかないと間に合わないんです。

「来年から準備すればいいか」ではなく、実は「もう始めないと手遅れ」——これが現実です。


「Excelをもっと便利にする」ではなく、「Excelをなくす」発想

ここまで読んで「じゃあどうすればいいの?」と思われた方に、解決の方向性をお伝えしますね。

ポイントは、Excelを改良することではありません。データの取り方そのものを変えることです。

いま「担当者が請求書を見て手入力する」フローには、3つの根本的な問題があります。

入力ミスの蓄積——毎月のデータ入力で、セルの上書きや単位の取り違えが積み重なります。属人化リスク——「この計算式を理解しているのは○○さんだけ」という状態は、異動や退職で業務が止まることを意味します。監査証跡の不在——将来の第三者保証で「このデータは正しいと証明してください」と言われても、Excelでは「誰がいつ変更したか」を追跡できません。

業界で注目されているのは、これらを根本から解消するクラウド型の統合データ基盤というアプローチです。

  • 請求書から自動でデータを読み取る: 手入力そのものが不要になります
  • 変更履歴が自動で記録される: 監査で「根拠を見せてください」と言われても即座に対応できます
  • 複数のフレームワーク向けに自動変換: 同じデータからSSBJ用、CBAM用、CDP用の出力がまとめて生成されます

つまり、担当者がやることは「請求書のメールを転送する」だけ。排出係数の選び方(つまり、電気やガスの使用量をCO2に換算する数値の選定)も、フレームワークの違いも、全部システムが処理してくれます。


本当に工数は減るのか?——構造的シミュレーションで検証する

「理屈はわかったけど、具体的にどのくらい変わるの?」という疑問は当然ですよね。ここでは、実際の業務工程を一つずつ分解して、手作業と自動化で何が変わるのかを構造的に比較してみましょう。

シミュレーション:従業員50名の製造業、取引先3社から質問票が届いた場合

工程1:電力使用量の記録(毎月) 手作業の場合、請求書を開いて数値を読み取り、Excelの該当セルに入力し、先月のデータと整合性を確認する。これだけで月あたり約2時間。一方、統合データ基盤では請求書メールを転送するだけでAIが数値を読み取り、自動で記録します。つまり担当者の作業は構造上0分です。

工程2:排出係数の適用と計算 手作業の場合、環境省やIEAのサイトで最新の排出係数を確認し、Excelの計算式を更新する必要があります。係数の年度切り替えを見逃せば、過去データとの整合性も崩れます。統合データ基盤では、地域ごとの排出係数が有効期間付きで内蔵されており、自動適用されるため、この工程自体が消滅します。

工程3:質問票への回答(四半期ごと) ここが最も工数の差が開くポイントです。取引先3社の質問票にそれぞれ10〜15時間かけて手入力する場合、合計30〜45時間/四半期。しかし、統合データ基盤が同一のデータを各フォーマットに自動マッピングする構造であれば、担当者の作業は「確認して送信する」だけ。質問票の数が増えても、元データの入力は1回だけなので、工数は質問票の数に比例しません

工程4:監査対応 「このExcelのB7セルの数値の根拠は?」——こう聞かれたとき、手作業では元の請求書を探し出して突合する作業が発生します。改竄不能な台帳に全データの抽出根拠が自動記録されていれば、この作業は即時検索で完結します。

このように、自動化の効果は「少し楽になる」ではなく、手作業で存在した工程そのものが構造的に消滅するという質的な変化です。質問票が3社から5社に増えても、担当者の追加負担はほぼ発生しません。


「ITに詳しくないけど大丈夫?」——よくある不安にお答えします

ここまで読んで「うちの会社で本当にできるかな」と感じた方もいらっしゃると思います。その不安、とても自然なことですし、実は多くの方が同じことをおっしゃいます。

Marupassは、まさにそうした不安を設計の段階から解消するために作られたサービスです。一つずつお答えしますね。

「新しいシステムを覚えるのは正直キツい」

お気持ち、よく分かります。Marupassは4つの取り込み経路を用意していますが、どれも皆さんが普段使っているツールだけで完結します。電力請求書のメール転送WhatsAppでの写真送信、LINEでのkWh入力、それから登録不要で使える無料診断ページ。新しい画面を覚える必要は一切ありません。

「排出係数とか、何を選べばいいか分からない」

排出係数というのは、「電気○kWhを使ったらCO2が△kg出る」という換算の数値のことです。Marupassはこの係数を18以上の地域分(日本・EU・米国・中国・韓国・東南アジア・中南米・インドなど)すべて内蔵しています。サプライヤーの所在地域に応じて自動で適用されるので、「選ぶ」という操作自体が存在しません。年度ごとの更新も自動です。

「IFRS S1の"つながりのある情報"にちゃんと対応できる?」

はい。Marupassの統合ESG台帳は、一度の証憑取り込みから10種類の規制フレームワーク(CBAM、SSBJ、CSRD/ESRS、VSME、SEC Climate、PACT V3、Catena-X、METI、J-Credit、FISC)に対応した出力を同時に生成します。すべてが同一のデータから読み取るので、フレームワーク間でデータが食い違う心配がありません

「監査で否認されたらどうしよう」

Marupassの暗号台帳は、一度記録されたデータの削除・書き換えがシステムレベルで禁止されています。さらに「意図的に厳しい」AI監査エージェントが全データを多角的にチェックし、検証をパスしたデータだけが台帳に記録されます。第三者の監査人がSCXとは独立に検証できる監査証跡が、自動で構築される仕組みです。

「サプライヤーがデータを出してくれない……」

これも多くの企業が悩むポイントですよね。Marupassはサプライヤー側の提出もシンプルにしています。中南米・東南アジアのサプライヤーはWhatsAppで請求書の写真を送るだけ。日本のマイクロサプライヤーはLINEでkWhを入力するか写真を撮るだけ。パスワード不要の認証で、ESGの知識がなくても操作できます。

しかも、蓄積されたデータは補助金マッチングエンジンで公的補助金の受給資格と自動照合されます。「データを出したら、補助金の案内が届いた」——このインセンティブがあることで、サプライヤーのデータ提出率は大きく変わります。


SAQ Shield

ESG Questionnaire Auto-Pilot

検証済み (WORM Ledger)
企業名株式会社もちもち製作所
業種部品製造業
回答状況5/5 自動入力済
ID質問内容自動入力された回答データソース確信度
E-1.1年間の電力消費量(kWh)を記入してください54,200 kWh請求書自動取込
99%
E-1.2Scope 2 排出量(tCO2e)を記入してください23.90 tCO2e排出係数自動適用
98%
E-2.1再生可能エネルギーの使用比率を記入してください12.4%JEPX NFC 証書照合
95%
S-3.1労働安全衛生に関する方針を記述してくださいISO 45001 準拠の安全衛生方針を策定・運用中ガバナンス台帳
92%
G-1.1取締役会のESG監督体制を記述してください取締役会にサステナビリティ委員会を設置(年4回開催)ガバナンス台帳
97%
WORM Ledger に暗号アンカー済
手入力の作業時間:0 分

まとめ

IFRS S1・S2は決して「大企業だけの遠い話」ではなく、サプライチェーンを通じて中小企業の日常業務に届く現実です。そして、Excel管理のまま放置すると、来年度の比較情報要求にも間に合わなくなってしまいます。

まずは請求書1枚をメール転送してみるところから。自社のESGデータがどう可視化されるか、ぜひ気軽に試してみてください。


稟議用資料:業務工程シミュレーション比較

業務工程手作業(Excel運用)統合データ基盤の場合
電力使用量の記録請求書を見てExcelに手入力(月約2時間メール転送で自動取り込み(0分
排出係数の確認・更新環境省サイトで手動確認+計算式修正(年1回)18地域の係数が自動更新・自動適用
質問票への回答(3社)各社10〜15時間×3社=30〜45時間/四半期自動マッピング+確認のみ(質問票の数に非依存)
前年比較データの準備遡及算定に数ヶ月の手作業が必要日々自動蓄積されたデータをそのまま出力
監査時の根拠提示元の請求書を探して突合する資料作り暗号台帳に全根拠が自動記録、即時検索
担当者異動時の引継ぎ計算ロジックの解読に1〜2ヶ月ロジックがシステム化されており引継ぎ作業なし

社内FAQ(想定問答集)——他部署からの質問への回答例

よくある質問回答のポイント
「うちはプライム上場じゃないから関係ないのでは?」IFRS S1はサプライチェーン全体のデータ開示を求めています。取引先の大企業を通じてデータ提出要求が届くため、対応しなければ取引継続に影響する可能性があります
「今のExcel管理で十分じゃない?」SSBJが将来求める第三者保証には「誰がいつ変更したか」の追跡が必要です。Excelでは監査証跡を残せないため、証明が構造的にできません
「導入にお金がかかるのでは?」メール転送だけで始められるので、初期の学習コストはゼロです。無料診断ページからCO2排出量の算出をまずお試しいただけます
「情シスの人がいない」クラウドサービスなので自社サーバーは不要。必要な設定はメールの転送先を登録するだけです
「セキュリティが心配」暗号台帳によりデータの削除・改ざんがシステムレベルで不可能。多層のセキュリティ検証で大企業の調達基準にも対応しています
「前年比較データって、いつまでに必要?」初年度の開示には前年度のデータが必須。つまり今年度中に基準に沿ったデータの蓄積を始める必要があります

上司や財務部門を説得する準備はできていますか?

45業界のユースケースを網羅した【完全版】ESGシステム導入のための社内説得・稟議書テンプレートを無料でダウンロードできます。