
先月の業界展示会で、取引先の調達担当者にこう聞かれた。「御社の段ボールって、削減貢献量はどのくらいですか?」——削減貢献量?初めて聞く言葉に、思わず言葉に詰まってしまった。
帰社してネットで調べてみたら、どうやら「削減貢献量(Avoided Emissions)」というのは、自社の製品が社会全体のCO2排出をどれだけ減らしたかを数値化するものらしい。しかもそのルールが、2026年2月に国際規格として正式に決まったという。「また新しいルール?」——その気持ち、よく分かります。本業の印刷・パッケージ製造だけで毎日手一杯なのに、次から次へとアルファベットの略語が降ってきますよね。
でも、この「削減貢献量」は従来のCO2算定とはちょっと性質が違います。これまでの排出量算定が「どれだけCO2を出したか」を測る減点方式だったのに対して、削減貢献量は「自社の製品で社会の排出をどれだけ減らしたか」を測る加点方式なんです。つまり、環境に良い製品を作っている企業にとっては、正当な評価を受けるためのチャンスでもある。
この記事では、(1) 削減貢献量とIEC 63372という新ルールの全体像、(2) なぜSMEにとって「加点方式」が諸刃の剣なのか、(3) 従業員15名の印刷業を想定した業務シミュレーション、(4) 製品単位のCO2データを現実的に整備する方法、を順番にお話していきます。
減点方式から加点方式への転換
削減貢献量とは何か——「減点方式」から「加点方式」への転換
まず結論から。削減貢献量(Avoided Emissions)とは、自社の製品やサービスが、市場で一般的に使われている代替品と比べて、社会全体の温室効果ガス排出をどれだけ抑制したかを定量化する指標です。
たとえば、ある印刷会社が従来の溶剤インクから水性インクに切り替えたとします。溶剤インクで印刷した場合の排出量と、水性インクで印刷した場合の排出量の差分——これが削減貢献量の考え方です。「自社がどれだけ排出したか」ではなく、「自社の製品が存在することで、社会全体の排出がどれだけ減ったか」を測るわけですね。
この概念自体は以前からありましたが、これまでは計算の方法が企業ごとにバラバラでした。比較の基準を自社に都合よく設定して、実態より大きな削減効果を主張するケースもあったんです。投資家や取引先からすれば、「その数字、本当に信頼していいの?」という疑念が常にあった。
そこで登場したのがIEC 63372です。
IEC 63372は、電気・電子製品のGHG排出量・削減量・削減貢献量に関する国際規格であり、IEC TC 111が策定。2026年2月に正式発行。従来のTR(技術報告書=参考資料)からIS(国際規格=要求事項を含む)に格上げされた。
——IEC TC 111 (Environmental standardization for electrical and electronic products and systems) https://www.iec.ch/dyn/www/f?p=103:7:0::::FSP_ORG_ID:1314
ここで大事なのは「TRからISに格上げされた」という点です。TRは「参考にしてね」という位置づけの技術文書ですが、ISは「こういう要件を満たしなさい」という要求事項を含む国際規格です。つまり、削減貢献量の数値を主張するなら、IEC 63372の方法論に沿って算定し、第三者検証を受けることが期待されるようになった。自社都合の「盛った数字」は、もう通用しない時代に入ったということです。
ちなみに、この規格の策定を主導したのはパナソニックとダイキン工業。日本のヒートポンプ技術やインバーター制御技術の国際的な評価を、定量的な数値で裏付けるための産業政策的な動きでもあります。日本の大企業がルールを作り、日本の技術の価値を世界に示す——ここまでは良い話ですよね。
「攻めの脱炭素」がSMEを苦しめる逆説——規格の受益者と負担者のズレ
ただ、ここに一つの構造的な問題があります。規格の恩恵を受けるのは主にパナソニックやダイキンのようなLCA(ライフサイクルアセスメント、つまり製品の原材料調達から廃棄までの全行程の環境負荷評価)の実施体制と第三者検証の予算を持つ大企業です。一方、サプライチェーンの中流・下流に位置するSMEは、「削減貢献量のデータを出してください」という新たな要求を受ける側に回ります。
冒頭の展示会のエピソードが、まさにこの構造の端的な例ですね。大手消費財メーカーが自社製品の削減貢献量を算定・開示するには、パッケージの段ボールや紙箱のカーボンフットプリントが必要です。その数値を求められるのは、パッケージを納品している印刷業のSMEです。
具体的に何が大変なのかを整理すると、主に3つの負担があります。
負担1:LCAベースの製品別排出量算定。 削減貢献量を算定するには、自社製品のライフサイクル全体の排出量データが必要です。一般的にLCAは1製品あたり3〜12ヶ月、費用にして数百万円を要する専門プロジェクトです。15名の印刷会社にとって、これは年商の何割にも相当する投資になりかねません。
負担2:比較基準のデータが手に入らない。 IEC 63372は比較基準を「市場で最も使われる製品」に限定しています。しかし、「市場で最も使われている段ボールの排出量データ」はどこにあるのか。競合他社のLCAデータは当然非公開です。業界平均のデータベースはあっても、精度や対象範囲にばらつきがある。この「比較データの不在」は、規格に準拠した算定を行ううえでの実務的なボトルネックです。
負担3:第三者検証のコスト。 国際規格化により、削減貢献量の主張には第三者検証が期待されます。検証機関への依頼費用は1件あたり数百万円からが相場です。自社の排出量算定(Scope 1-3)に加えて、削減貢献量の算定と検証まで対応する余力は、多くのSMEにはありません。
つまり、「攻めの脱炭素」は、リソースのある大企業には競争優位の武器になる一方で、SMEにとっては新たな算定負担として降りかかる。「日本企業が主導した規格」が日本のSMEを苦しめるという逆説が、ここにあるわけです。
でも、取引先の要求は待ってくれない——SMEに必要な「段階的アプローチ」
「そこまで大変なら、うちには関係ないってことで良い?」と思いたくなりますよね。でも残念ながら、そうもいかないのが現実です。
大手消費財メーカーやブランドオーナーが自社のサステナビリティ報告に削減貢献量を盛り込み始めると、そのデータの裏付けとしてサプライヤーの**製品単位のカーボンフットプリント(PCF)**が必要になります。「削減貢献量は出せなくていいから、せめてパッケージのCO2データは出してほしい」——この要求は、今後確実に増えていきます。
ここで大事なのは、「一発でフルスペックのLCAを完成させなければならない」わけではないということです。
PACT(Partnership for Carbon Transparency)は、企業間で製品カーボンフットプリントデータを交換するためのフレームワークであり、段階的なデータ精度の向上を前提としている。
——WBCSD PACT Pathfinder Framework, Version 3.0 https://www.carbon-transparency.com/
つまり、初年度は排出係数データベースの推計値で始めて、年度ごとに実測データの比率を上げていく。この「段階的アプローチ」は国際的に認められた方法です。大事なのは、基礎となる製品単位のデータ収集の仕組みを今のうちに作っておくこと。データが蓄積されていれば、削減貢献量の算定が求められたときにも、ゼロからではなく既存データの延長で対応できます。
印刷業の現場で考える——従業員15名の会社が直面するリアルな壁
ここからは、具体的な現場を想像しながらお話ししましょう。
従業員15名の印刷業・パッケージ製造会社を思い浮かべてください。段ボールと紙箱の製造がメインで、水性インクへの切り替え済み、再生紙比率は80%を達成しています。環境への努力は確実にしているのに、それを「数値で証明」する手段がない。そんなところに、大手消費財メーカーの調達担当から「パッケージのカーボンフットプリントを出してほしい」という依頼が来た——という状況です。
パッケージ製造のCO2、どこから出ているのか
印刷業・パッケージ製造における排出源は、他の製造業とはちょっと違うポイントがあります。主な排出源を分解してみましょう。
- 原材料(紙・板紙): 段ボール原紙や白板紙の製造時排出量。再生パルプ比率によって係数が大きく変わる。ここが通常最大の排出源
- インク・塗料: 水性インクと溶剤インクではVOC(揮発性有機化合物)排出量が桁違い。水性インクへの切り替えは削減貢献量の主張材料になりうるが、数値化できていなければ「言ったもん勝ち」
- 印刷機の電力消費: オフセット印刷機、フレキソ印刷機、後加工機の電力。稼働率によって月ごとにばらつきがある
- 断裁くず・ヤレ紙(刷り損じ)の廃棄: 印刷業特有の廃棄物。紙のリサイクルに回す分と、インク汚れで廃棄になる分で排出係数が異なる
- 配送: 近隣の得意先への配送が多い業態。自社トラックか外注かで算定方法が変わる
「数値で証明できない」問題の正体
この会社は水性インクに切り替えて、再生紙比率80%を達成している。それ自体は素晴らしい環境努力です。でも、取引先に「どのくらいCO2が減ったんですか?」と聞かれたとき、答えられない。
なぜ答えられないのか。3つの構造的な理由があります。
理由1:原材料の排出係数が追跡できていない。 再生紙比率80%と言っても、その再生パルプがどの地域のどの工場で生産されたかによって排出係数は異なります。仕入先の製紙メーカーに問い合わせても、パルプの産地別排出データを持っているとは限りません。
理由2:水性インクの環境優位性が定量化されていない。 「溶剤インクより環境にいい」ことは業界の常識ですが、具体的にどれだけCO2やVOCが減ったのかという数値がない。これでは削減貢献量の主張以前に、製品のカーボンフットプリント自体が算定できません。
理由3:ヤレ紙・断裁くずの処理経路が記録されていない。 リサイクルに回した紙と、インク汚れで一般廃棄になった紙では排出係数が全く違います。現場では感覚的に把握していても、数値として記録する仕組みがない。
手作業で対応するとどうなるか——工数シミュレーション
この15名の印刷会社が、取引先の要求に応えて製品単位のカーボンフットプリントを手作業で算定しようとしたら、どのくらいの工数がかかるでしょうか。主要な作業を分解してみます。
| 作業内容 | 推定所要時間(年間) |
|---|---|
| 排出源の特定・製品別の割り当て方法の設計 | 約20時間(初年度のみ) |
| 原材料(紙・板紙)の仕入量集計 + 再生パルプ比率の追跡 | 約16時間 |
| インク種類別の使用量記録 + VOC排出量の推計 | 約12時間 |
| 印刷機・後加工機の電力消費データ収集 | 約8時間 |
| ヤレ紙・断裁くずの廃棄経路別集計 | 約6時間 |
| 配送データの集計(距離・重量・車両種別) | 約6時間 |
| 排出係数の調査・選定・根拠の文書化 | 約24時間 |
| 製品別の按分計算(段ボール vs 紙箱、ロットごと) | 約16時間 |
| 取引先フォーマットへの転記・提出 | 約10時間 |
| 合計 | 約118時間(初年度は約138時間) |
年間118時間。営業日に換算すると約15日分です。従業員15名の会社で、誰かが丸々3週間をCO2算定に費やす計算です。しかも、印刷業にはESG専任の担当者がいることは稀で、この作業は工場長や総務担当者が本業の合間にこなすことになります。
特に重たいのが「排出係数の調査・選定・根拠の文書化」の24時間です。掛け算自体は簡単ですが、「なぜこの排出係数を使ったのか」「再生パルプ比率80%の紙の係数はどのデータベースから取ったのか」を記録する作業が、算定そのものより時間がかかるんです。
「製品単位のCO2を自動で出す」という解決の方向性
ここまでの課題を整理すると、印刷業のSMEが直面している問題は3つに集約されます。
問題1:データはあるのに、CO2に換算できない。 紙の仕入量もインクの種類も電力使用量も、業務データとしては存在する。足りないのは、それを排出量に変換する排出係数と、変換の仕組み。
問題2:環境努力が「数値」として見えない。 水性インクへの切り替えも再生紙比率80%も、定量的な証明がなければ取引先の調達評価には反映されない。
問題3:製品別の按分が属人的。 段ボールと紙箱、ロットごとの排出量按分は、担当者の頭の中にしかない配分ルールに依存している。
これらに対して、業界で注目されているのが、LCAベースの排出量を製品単位で自動算定し、暗号的な証明を付けて第三者が独立に検証できるようにするというアプローチです。
考え方の骨格はこうです。
ステップ1:業務で発生する証憑(仕入伝票、電力請求書、インクの安全データシート等)をそのまま取り込む。 手入力ではなく、書類そのものからAIがデータを読み取る。
ステップ2:材料の種類と調達地域に応じて、排出係数が自動的に適用される。 「どの係数を使うべきか」を人が判断する必要がない。再生パルプ比率の違いによる係数の差も、システムが処理する。
ステップ3:製品別の按分ルールに従って、カーボンフットプリントが自動で算出される。 段ボールA製品に何kg、紙箱B製品に何kgという按分が、生産データに基づいて自動計算される。
ステップ4:算出されたデータに改竄不能な証明が付与され、取引先や検証機関が独立に正しさを確認できる。 これにより、第三者検証のハードルが構造的に下がる。
この仕組みがあれば、先ほどの工数シミュレーションで最も負担が重かった「排出係数の調査・選定・根拠文書化(24時間)」「製品別の按分計算(16時間)」「取引先フォーマットへの転記(10時間)」——合計50時間分が構造的に消える可能性があります。年間118時間が60〜70時間に圧縮される計算です。
仮想シミュレーション——水性インク切り替えの削減貢献量はどう算定されるか
もう少し具体的に、この15名の印刷会社が水性インクへの切り替えによる削減貢献量を主張するまでの流れをシミュレーションしてみましょう。あくまで仮想のシミュレーションですが、構造を理解するには有用です。
前提条件
- 年間インク使用量:約5トン
- 切り替え前:溶剤インク(VOC含有率40%)
- 切り替え後:水性インク(VOC含有率5%)
- IEC 63372の比較基準:「市場で最も使われるインク」=溶剤インク
算定の流れ
1. 自社製品の排出量算定(水性インク使用時): 水性インク5トンの製造時排出量 + 印刷工程の電力 + 乾燥工程のエネルギー + 廃液処理を合計する。
2. 比較基準製品の排出量算定(溶剤インク使用時): 同量の溶剤インクを使用した場合の排出量を、業界平均データベースの係数を用いて推計する。
3. 差分が削減貢献量: 比較基準の排出量から自社製品の排出量を引いた値が、削減貢献量として主張できる数値。
ここでの壁
このシミュレーションで見えるのは、ステップ2の「比較基準の排出量」を信頼性のあるデータで算出できるかどうかがすべてのボトルネックになるということです。溶剤インクの製造・使用・廃棄に伴う排出量データは、インクメーカーが公開していなければ、業界平均の推計に頼るしかない。そしてその推計値の選択根拠を文書化し、第三者が検証できるように保持する必要がある。
自動化基盤がない状態でこれを手作業で行うと、1つのインク品種の削減貢献量算定だけで数十時間かかる。製品ラインが複数あれば、その倍数になります。
「再生紙80%」を数値で証明する——データ蓄積の起点を作る
削減貢献量のフルスペックのLCAは、確かにSMEには重い。でも、その基礎となる**製品単位のカーボンフットプリント(PCF)**は、今のうちから準備できます。
ポイントは「完璧なLCAを目指す」のではなく、「日常業務のデータ収集にCO2換算を組み込む」ことです。
この印刷会社の場合、まず着手すべきは次の3つです。
着手1:紙の仕入伝票から再生パルプ比率と排出量を自動算定する。 再生紙比率80%は、排出量に換算すると「バージンパルプ100%の場合と比べて何tCO2e削減」という数値に変わります。この変換が毎月自動で行われていれば、取引先に聞かれたときに即座に回答できます。
着手2:インク種類別の使用量を記録し始める。 水性インクと溶剤インクの環境比較データは、削減貢献量の算定に直結します。安全データシート(SDS)にVOC含有率は記載されているので、これを取り込む仕組みがあれば、あとはシステムが換算してくれます。
着手3:電力使用量を印刷機別に把握する。 機械別のサブメーターがなくても、稼働時間ベースの按分で初年度は始められます。精度は後から上げていけばいい。
この3つが回り始めれば、「段ボールA製品1万枚あたり何kgCO2e」という製品カーボンフットプリントが算出できるようになります。これは取引先が今まさに求めているデータであり、将来の削減貢献量算定の基礎データにもなります。
Marupassでできること——製品単位のCO2を「証明可能な形で」出力する
ここまで読んで、「方向性はわかったけど、15人の会社で排出係数エンジンとかLCA自動化とか、現実的に導入できるのか?」と感じた方もいらっしゃると思います。その感覚は正しいです。実際、多くのLCAツールは大企業向けに設計されていて、SMEの現場には合わないことが多い。
Marupassは、まさにこの「SMEの現場で実際に使える」ことを最優先に設計されたサービスです。
「排出係数を選ぶ」という作業が存在しない
Marupassのグローバル排出係数エンジンは、18以上の地域(日本、EU、米国、中国、韓国、台湾、タイ、ベトナムなど)の排出係数を有効期間付きで管理しています。紙の仕入伝票を取り込めば、再生パルプ比率と調達地域に応じた排出係数が自動で適用されます。「どのデータベースのどの係数を使うべきか」を人が調べる必要はありません。年度ごとの係数更新も自動です。
製品カーボンフットプリントパスポートを自動生成
MarupassのPACT V3アダプターは、蓄積されたデータから製品カーボンフットプリントパスポートを自動で生成します。つまり、「段ボールA製品1万枚あたりのCO2e」という数値が、取引先に提出可能なフォーマットで出力される。しかも同じデータからCBAM、SSBJ、CSRD/ESRS等の報告にも対応できるので、取引先ごとにフォーマットを作り直す手間はありません。
グリーンウォッシュの疑いを構造的に排除する
削減貢献量を主張するうえで最大のリスクは、「その数字、盛ってない?」という疑念です。Marupassはこの問題に4つの仕組みで対応しています。
暗号台帳(WORM台帳): 一度記録されたデータの削除・書き換えがシステムレベルで禁止されています。これはデータベースの物理的な制約であり、管理者であっても変更できません。
チェーン完全性検証: 台帳全体を任意の時点で再計算し、途中のいかなる改竄も数学的に検出できます。第三者が独立に検証可能です。
敵対的監査エージェント: 「意図的に厳しい」AI監査エージェントが、全データをクロスリファレンスして矛盾・異常値・過大評価を自動で検出します。自社に甘い算定は、提出前にはじかれます。
暗号証明トークン: 各データポイントに一意の暗号証明が付与されます。取引先や監査機関がSCXとは独立に、データの真正性を検証できます。
これらの仕組みにより、第三者検証のコストが構造的に下がります。検証機関が「ゼロから監査する」のではなく、「暗号的に保証されたデータを確認する」作業に変わるからです。
「新しいシステムを覚える時間がない」
Marupassの取り込み経路は、メール転送、LINE、WhatsApp、登録不要の無料診断ページの4つです。紙の仕入伝票やインクの請求書をメールで転送する——操作はそれだけです。
WORM AUDIT LEDGER
IMMUTABLE ・ APPEND-ONLY ・ SHA-256
電力請求書_2026年2月.pdf → 株式会社いちご印刷
48,600 kWh × 0.000441 = 21.43 tCO2e
SHA-256 ハッシュ → 改竄不能台帳に記録
E-1.1, E-1.2 → EcoVadis テンプレートに反映
Adversarial Auditor: PASS(脆弱性 0件)
まとめ
削減貢献量とIEC 63372は、環境に良い製品を作っている企業にとって正当な評価を得るためのチャンスです。しかし同時に、LCA算定・比較基準データ・第三者検証という新たな負担をSMEに課す面もあります。フルスペックのLCAに一気に取り組む必要はありません。まずは日常の仕入伝票や請求書から製品単位のCO2データを蓄積することが、削減貢献量対応への最も現実的な第一歩です。仕入伝票1枚をメール転送するところから、始めてみてください。
社内FAQ(想定問答集)——「削減貢献量の算定やLCA対応のためにツールを導入する」ことへの社内反対意見
| 社内で出そうな反対意見 | 回答のポイント |
|---|---|
| 「削減貢献量なんてうちには関係ない。大企業の話でしょ」 | 削減貢献量の算定自体は確かに大企業が主体です。しかし、その算定の基礎データとしてサプライヤーの製品カーボンフットプリントが必要になります。取引先が削減貢献量を開示し始めれば、パッケージのCO2データの提出要求は確実に来ます。「うちが算定する」のではなく「取引先に求められる」という構造を理解しておく必要があります |
| 「LCAなんて数百万円かかるんでしょ?うちには無理」 | フルスペックのLCAを自社で実施する必要はありません。まずは排出係数データベースの推計値で製品単位のカーボンフットプリントを算定し、年度ごとに実測データの比率を上げていく「段階的アプローチ」がPACT V3でも認められています。排出係数エンジンを活用すれば、初期の算定にLCA専門家は不要です |
| 「水性インクに切り替えたんだから、それで十分じゃないか」 | 水性インクへの切り替えは環境面で大きな前進です。ただし、IEC 63372の正式発行により、環境優位性の主張には定量的な裏付けと第三者検証が求められるようになりました。「やっている」だけでなく「数値で証明できる」状態にしておくことが、取引先の調達評価で差がつくポイントです |
| 「今のExcel管理に排出量の欄を追加すれば済む話では?」 | 排出量の計算式(活動量 x 排出係数)自体はExcelでも可能です。問題は3つ。(1) 排出係数の選定と根拠文書化だけで年間約24時間かかること、(2) 製品別の按分ルールが属人化して引き継げないこと、(3) 取引先から「このデータは改竄されていない証明を見せてください」と言われたときに、Excelでは構造的に応えられないこと。特に(3)は、IEC 63372の第三者検証要件が強化されるなかで致命的な弱点になります |
| 「印刷業で排出係数なんて分かる人がいない」 | 排出係数エンジンを内蔵したツールであれば、紙の種類と調達地域から係数が自動適用されます。再生パルプ比率の違いによる係数の差も、仕入伝票のデータから自動で処理されます。ESGの専門知識は不要です |
| 「取引先にはまだ聞かれていないから、今やる必要はない」 | 削減貢献量の基礎データ(製品カーボンフットプリント)は、蓄積型のデータです。聞かれてから「来月から始めます」では、過去のデータがゼロなので前年比較もできません。年間の仕入データが揃ってはじめて1製品分のPCFが算出できるため、今年度のデータ蓄積を始めないと、来年度の要求に対応できないという時間的制約があります |
| 「ツールを入れてもうちの段ボールのデータなんてないでしょ」 | 段ボール・紙箱に特化したLCAデータベースが存在しないのは事実です。しかし、原材料(紙・板紙)の仕入量、インク使用量、電力消費量、廃棄物量——これらは業務データとして既に社内にあります。排出係数エンジンがこれらを自動でCO2に換算し、製品別に按分する仕組みがあれば、業界特化のデータベースがなくても製品カーボンフットプリントの算定は可能です |